自然金

 

このページは砂金や砂白金を調べ始めたころに、個人的なメモとして内容を更新してきました。
しかし今となってはその役割はもう終わったと判断しています。
そのためこのページの更新はもうありません。
砂金や砂白金からの新しい発見は論文でまとめていきます。
結果的に砂金・砂白金からは新鉱物として金水銀鉱留萌鉱+初山別鉱皆川鉱三千年鉱苫前鉱を見つけることができました。
砂金・砂白金、楽しかったです。

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天然に生じる金(きん)のことを自然金(しぜんきん)と呼ぶ。
この自然金について研究で触れる機会があり調べ始めている。
メモのつもりで書いていたら当初の想定よりも数が増えてきたので産地とテーマで分類してみた。
産地と化学組成だけでも載せてみる。

産地

テーマ

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砂金
砂金とは名前が示すように砂のような金である。砂の定義は2ミリ以下なのでそれを目安にしようか。2ミリ以上は金塊(nugget:なげっと)と呼べばいい。主に河川から採集されるが,浜辺でも採れることがある。砂金は金の品位(濃度)が高いと言われている。まずはこれを調べてみたい。
 
Placer gold
アメリカ,カリフォルニア州のユバ川の砂金
表面分析の結果は百分率でAu99Ag1の組成となっており,金の品位が高い。うわさどおりだった。
 
BSE image of placer gold
上の砂金の切断面を電子顕微鏡で撮影した写真。暗灰色が砂金の内部で,明灰色が砂金の表面に該当する。黒いポツポツは穴。
さて,この画像は明るい部分は金濃度が高く,暗い部分は金濃度が低いことを意味している。表面の分析で金ばかりが検出されたが,切断面をみるとそれは表面の1ミクロン以下の厚さだけの現象であることがよくわかる。中身(暗灰色)の部分はAu65Ag35の組成で,かなり銀が含まれている。そうなると全体的には金品位はさほど高くない。

川からの砂金はおおむねこんな感じである。表面の分析では金ばかりが検出されるが,それは見かけ倒しに過ぎない事が多い。内部には銀が含まれている。また,内部は穴だらけで,スポンジのような内部組織になっている。

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山金
山金とはなんというか砂金の対義語のような単語である。山で採れる金という意味合いはもちろんあるが,どちらかというと母岩に埋まっている金のことを指す。そのため川や海で拾った石に金が含まれていたら,それは山金である。
Native gold
静岡県菖蒲沢海岸に転がっている石英塊に含まれる山金。切断面の写真。この産状は典型的な熱水性鉱脈に思える。

さて,日本の山金はざっくりとに5つの型に分けられるという研究報告がある[1]
①, 浅熱水性鉱脈型(epithermal vein type)
②, 深/中熱水性鉱脈型(hypo/mesothermal vein type)
③, 黒鉱型(Kuroko type)
④, 層状含銅硫化鉄鉱鉱床型(cupriferous bedded iron sulfide type)
⑤, スカルン型(skarn type)

これらの内,①と②が山金としてもっとも一般的な産状となる。そして①の山金は基本的に銀を多く含んでおり,②の山金は銀に乏しいという特徴を持つようだ(例外はある)[1]。この傾向は別の研究報告でも支持されている[2]
さて,静岡県菖蒲沢海岸で採集できる山金の分析値はAu58Ag42となり,これはかなり銀に富んでいる。そうなるとこれは①の浅熱水性鉱脈型と推測される。

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浜金

浜辺で採れる砂金のことを浜金(はまきん)と呼ぶことがある。川で採集できる砂金とはやや様相が異なる。
 
Placer gold
北海道小平海岸で採れる浜金
浜金の特徴はまずサイズ。とても小さい。写真では大きく見せているが実はこの写真幅は1ミリしかない。

BSE image of placer gold
断面のSEM写真
浜金では金に富む表層がないことが多い。そのため表面も内部も組成は同じである。そして金の品位が高いという特徴がある。写真の浜金だとAu97Ag3。
理由はこれで説明されている。→自己電解精錬2

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秩父鉱山

Native gold
秩父鉱山大黒坑下から産した山金。文献[1]で言うところの⑤スカルンタイプ。

BSE Image of native gold
山金は表面と内部で組成の違いはないことが一般的。この山金の組成はAu97Ag3と金に富む。また砂金のように内部にたくさんの穴が空いている。

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由良川

Placer gold
京都府の由良川。表面:Au98Ag2,内部:Au65Ag35
表面と内部で組成が異なる標準的な砂金。

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砂銀?
砂銀は存在しないとなにかの本で読んだことがある。これは真実かそれとも風聞に過ぎないのか。
 
Placer gold including native silver
ある砂金の断面写真。いつものように縁(表層)は高濃度の金になっているが,内部はやや暗い灰色とけっこう暗い灰色のコントラストがついている。やや暗い灰色部分の組成はAu65Ag35で,金>銀となっている。一方でけっこう暗い灰色部分はAg58Au42(銀>金)となっている。そこは鉱物種としては自然銀(native silver)になる。砂銀は確かに見たこと無いが,砂金の中に自然銀は存在しうるということだった。

群馬県下仁田町,山梨県丹波山村,石川県犀川,岐阜県六厩地域,兵庫県Meidi(明治?)地域,福岡県星野川からの砂金にも鉱物種としては銀に相当する化学組成が報告されている[2]

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ペンケモユーパロ川

Placer gold
左上の砂金は,ほかの二つに比べてわずかに色が淡い。
左上砂金(色が淡い):Au89Ag11(表面),Au73Ag27(内部)
右上砂金(色が濃い):Au99Ag1(表面),Au82Ag17(内部)
色の淡い左上砂金には表層にも銀が結構含まれていた。そのせいで色が淡いのだ。色の濃淡は化学組成を反映しているということでした。

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砂金の中身

TEM image of placer gold
砂金の透過型電子顕微鏡写真。この視野は10ナノメートル以下の結晶の集合体となっている。

一般的な砂金はこのような超微細結晶の集合体である。ただし均質ではない。写真のように10ナノメートル以下の結晶ばかりの部分もあれば,50ナノメートル程度の結晶が集まった部分もある。枝幸からは結晶面が見える砂金が産するようなので,それは単結晶なのかも。いずれ検証してみたいが手に入るか?

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多摩川

Placer gold
Au100Ag0(表面),Au92Ag8(内部)。内部にも銀が少なくかなり全体として高品位な砂金。文献[2]によると多摩川からの砂金(内部)にはAu99-61Ag34-1Hg1-0くらいの幅がある。いずれにしても多摩川の砂金には金品位の高いモノが確実に存在している。

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自己電解精錬1
これまでの例で見てきたように砂金の表面はどういうワケか金の濃度が高い。この現象はどう考えたらいいか。その説明としては「銀だけが水に溶ける~」とか「バクテリアが~」などが主張されてきた。一方でそれらはたいした証拠が示されていないのが実情と認識している。そんな中で登場したアイデアが自己電解精錬作用(self-electrorefining)で,これは多くの実験結果を基に提案されている[3]。この説は今では世界的に受け入れられているだろう。

自己電解精錬作用
Groenら[3]の図10を参考に作成。

自己電解精錬のシナリオはざっくりと以下のようになっている。
①, バルク溶液(ここでは川の水)から金や銀を錯体化させるリガンド(例えばCN-, OH-, NH3, Cl-, I-, Br-, HS-など)がやってくる。
②, 3個の電子(e-)の放出を伴って錯体が形成され,金-銀合金はいったん溶解する。
③, このとき水に溶けやすい銀の錯体は多くがバルク溶液まで達して流されていく(銀の損失)。
④, 一方で金錯体は②で生じた自由電子とただちに反応&解離して,金として表面に析出する。
⑤, 余分な電子は酸素と水と反応し水酸化物イオン(OH-)となって放出される。

銀だけが溶けるのではなく,金も同時に溶けるが,金は即座に表面に析出してしまうということ。

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黄色い砂金

Placer gold
円山川の砂金。下の2個は普通の砂金の色合いだが,上の3個はあからさまに黄色い。

黄色い砂金:Au92Ag2Hg6(表面), Au73Ag25Hg2(内部)
普通の砂金:Au90Ag8Hg2(表面), Au74Ag26(内部)
黄色い砂金は水銀が多く含まれていた。あとから液体水銀がやってきて反応したというより,もともと水銀を含む砂金があってそれが自己電解精錬作用でこうなるという考えがある[4]。ただしその水銀を含む砂金が天然に生じたモノなのか,それともアマルガム法で金を回収した際の残留物(人工的なモノ)なのかは考える必要があると思う。

多摩川,浅利川,兵庫県中瀬地域からの砂金の一部もHgに富む表層をもつことが報告されている[2]。中瀬も円山川水系に含まれているので,調和的な結果といえる。

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津具鉱山

津具鉱山の山金には水銀が含まれることが知られていた[1]。どの程度だろうか。

Native gold with mercury content
やや淡い色合いをもつ山金

内部はおおむね均質でAu73Ag20Hg7程度。水銀含有の山金は存在するという例。こういったモノが川に供給されると上のような砂金の元になりうる。別の産地としては中瀬の山金にはとりわけ水銀が多いことが知られる[2]

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久慈川

Pacer gold
Au91Ag9(表面),Au80Ag20(内部)。

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砂白金

Pacer gold and platinum-group-element alloy
白金川の砂金と砂白金(さはっきん)。川の名前が示すようにここでは砂白金も多く見つかる。

写真左砂金,Au98Ag2(表面),Au84Ag16(内部)。
写真中砂白金,Ir35Ru34Os31となかなか中間的だが鉱物種としてはルテニイリドスミンとなる。自然白金(native platinum)はぜんぜん見つからない。

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自己電解精錬2
 
自己電解精錬というのは砂金にまつわる現象をうまく説明できていると思っている。例えば浜金が金に富む表層を持たず全体が高濃度の金となっていることも自己電解精錬で説明されている。

無題-1
Groenら[3]の図5を参考に作成。

砂金・浜金のオリジナルはもちろん山金である。山金が母岩から剥離したものが砂金であり,剥離してすぐはもちろん金に富む表層は出来ていない。そのうち砂金は下流へ運搬され,時間経過と共に自己電解精錬によって金に富む表層を生じる。さらに下流に運搬されると砂金はちぎれたり摩耗で小さくなったりする事に加えて,時間経過と共に自己電解精錬がさらに進み,表層に過ぎなかった金に富む層が成長する(中身は消費される)。最終的には高濃度の金が主体となる。山金として生じた自然金が剥離し,砂金となり,川を下り,海に到達し,浜に濃集したものが浜金である。そこに至る過程で精錬されていくということ。浜金はとても小さいが,全体的に金に富んでいる。

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アマルガム1

アマルガムとは水銀とほかの物質の化合物を言う。ここでは水銀と金の化合物。そして,砂金採りをしているといわゆるアマルガムに出くわすことがある。現場のブツのことに触れる前に,そもそもアマルガムの本質は何だろうか。書物には「液体水銀は金を溶かす」と書いてあるので,アマルガムとは金と水銀が任意の割合で混じり合った柔らかい金属もしくは液体である,というのが一般の認識かもしれない。実態はどうか。

相図
0-100℃までの金-水銀系の相図。元データは文献[5]

液体水銀に金を近づけると確かすっと溶け込むような挙動をする。ところが相図を見ると,室温で液体水銀が溶かしこむことが出来る金の量は1%未満の量にすぎない。なんてことだ,液体水銀は金を溶かし込むことができない。
 液体水銀が金を溶かすように見えるその実態は「微細な化合物が速やかに形成され,過剰な液体水銀の中に拡散する」という事である。でもやっぱりそれは肉眼では液体水銀は金を溶かすように見える。そうなると「液体水銀は金を溶かす」という認識が生まれる。それは見た目の現象として間違っているわけではなく,実用する人にとってもたいした問題でもないだろう。それでもアマルガムは何だと問われたら「それは相であり,しかもいくつかある」というのが一つの答えになる。次は現実のブツに触れていきたい。

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アマルガム2

さて,現実のブツを調べてみた。タイトルにあるとおりで答えはアマルガムであるが,物質としては何だ?

Weishanite and gold

とある場所の砂金であるが,中央右よりは砂金にしては色がおかしい。そこを分析してみるとAu83Ag1Hg16の化学組成で,これは円山川の水銀を含む砂金よりも水銀が多い。X線も使って調べてみたら,Au3Hg相と金が混じっているピークが出た。Au3Hg相はウェイシャン鉱(weishanite)と言う名前が付いている。

ウェイシャン鉱は砂金の上の薄い層で生じている。しかしあまりに薄すぎて,分析する際に電子線がそれを貫通した下の砂金も含めて分析してしまっていたので,ウェイシャン鉱にしては金が多いという分析値が出ていた。成因としてはこれも自己電解精錬と思える。

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アマルガム3

タイトルにあるようにこれもアマルガムである。さてコレは何だ?

Weishanite

分析値はAu59Ag13Hg28。合計を「4」で規格化すると(Au2Ag1)Σ3Hgとなる。端成分に直すとAu3Hgでこれもウェイシャン鉱(weishanite)である。やっぱりこれも表層に生じているが,上のケースよりも厚い層になっており,銀も多く含まれるので銀色が強く出ている。

厚い表層にもかかわらず多くの銀が検出され,調べると内部の金・銀比率もほぼ同じであった。そうなるとこれは自己電解精錬ではなく,あとからやってきた液体水銀と砂金との反応で生じたのだと思われる。天然物かどうかは周囲の地質条件や採掘史などを考慮して判断する必要がある。

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砂鉱(重砂)
自然金というテーマからは外れているように感じるかもしれないが,砂金と関連がある。パンニングで砂金採りを行うと砂金と共に大量の黒い砂が残る。砂鉱や重砂と言い,この黒い砂の中に含まれている鉱物を集めて調べてみた。産地によりけりだが例をあげてみる。

磁鉄鉱・チタン鉄鉱 Magnetite and Ilmenite
右側:チタン鉄鉱 / Ilmenite
左側:磁鉄鉱 / Magnetite (左下の一個だけはクロム鉄鉱 Chromite)
産地を問わず砂鉱にはこいつらが多い。パンニングをすると砂金と共にこれらが最後まで残ってくる。砂金はこいつらの中にぴかりと光るのでそれを回収する。
 
透明結晶 Transparent crystals
砂鉱には磁鉄鉱やチタン鉄鉱だけでなく,透明な結晶も多く含まれている。この写真の中にはジルコン,エンスタタイト,鉄ばん石榴石,アクチノ閃石,石英がいるが,どれがどれだかわかるだろうか? 
答え合わせはここ
 
灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
カルシウムとタングステンの酸化物である灰重石は比重が高く,砂鉱として濃集しやすい。特定の地質帯の砂鉱には普遍的に認められる。短波長の紫外線で青く蛍光するので存在していれば容易に見つかる。
 
球状砂鉱
宇宙塵? / Cosmic dust
宇宙塵は小さすぎるので落ちてくるときの摩擦熱で溶けたりして球形になる。この産地では黒色・白色・淡黄色・透明の種類があった。写真のスケールでは見えないが表面は特徴的な再結晶組織になっている。黒色の球は磁鉄鉱やマグヘマイトになっておりまた中身は中空であることが非常に多い。白色~透明の球の化学組成はそれぞれ異なる。隕石を見つけるのは難しいがこれなら砂鉱中にいくらか見つかる。ただし場所によっては溶接スラグということもあるようだ。
 

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文献
[1] Shikazono N., Shimizu M. (1988) Electrum: Chemical composition, mode of occurrence, and depositional environment. University Museum, Univ. of Tokyo, Bulletin No.32, p.81.

[2] Yokoyama K., Takeuchi S., Nakai I., Tsutsumi Y., Sano T., Shigeoka M., Miyawaki R., Matsubara S. (2011) Chemical compositions of electrum grains in ore and placer deposits in the Japanese Islands. National Museum of Nature and Science Monographs, No. 42, p.80.

[3] Groen J.C., Craig J.R., Rimstidt J.D. (1990) Gold-rich rim formation on electrum grains in placers. The Canadian Mineralogist, 28, 207-228.

[4] Barkov A.Y., Nixon G.T., Levson V.M., Martin R.F. (2009) A cryptically zoned amalgam (Au1.5-1.9Ag1.1-1.4)Σ2.8-3.0Hg1.0-1.2 from a placer deposit in the Tulameen – Similkameen river system, British Columbia, Canada: Natural or Man-made ?. The Canadian Mineralogist, 47, 433-440.

[5] Okamoto H., and Massalski T.B., Au-Hg (Gold-Mercury), Binary Alloy Phase Diagrams, II Ed., Ed. T.B. Massalski, Vol. 1, 1990, p 376-379.

[6] 弥永芳子 (2006) 砂白金~その歴史と科学~. 文葉社, pp.233. ISBN: 4-902254-12-3.

[7] 浦島幸世, 若林忠男, 正木俊行 (1976) 北海道幌加内のosumian rutheniumとplatinum alloys. 鹿児島大学理科報告, 25, 165-171.

[8] 寺島靖夫, 国広開陸, 斉藤真理子, 高橋直子(2006) 神奈川県三浦半島佃嵐崎の砂金. 地学研究, 55, 145-148.

[9] Urashima Y., Wakabayashi T., Masaki T., Terasaki Y. (1974) Ruthenium, a new mineral from Horakanai, Hokkaido, Japan. Mineralogical Journal, 7, 438-444.

[10] Harris D.C., Cabri L.J. (1973) The nomenclature of the natural alloys of osmium, iridium and ruthenium based on new compositional data of alloys from world-wide occurrences. The Canadian Mineralogist, 12, 104-112

[11] 田中崇裕,浜根大輔(2017) 鹿児島県山ヶ野(永野)鉱山下流産棒状「砂金」について. 日本鉱物科学会2017年年会.

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浜白金

北海道小平町の海岸(秀浦)で採集される砂金(いわゆる浜金)にほんのわずかに砂白金が混じっている事に気付いた。浜金に対して浜白金と言っておこう。

浜金・浜白金
写真中央が浜白金。光の反射で磁鉄鉱とクロム鉄鉱が銀色に見えることもあり,それらとの判別はなかなか難しいが,浜白金はぺらぺらなのでそれを目当てに探す。透明感がある結晶はジルコン。写真全体の幅は約2.5ミリ。

浜白金
ランダムに6個をピックアップして分析してみたところ,自然プラチナが3個,自然オスミウムが1個,ルテニイリドスミンが2個という内訳だった。答え合わせはここ。浜白金なのですごく小さくてピックアップすら難しい。それでもようやく初めてプラチナ(Pt)を含む砂白金を見つけたのでなんだかうれしい。写真幅は約1.5ミリ。

分析してここに書いてから気付いたが,小平町秀浦の砂白金は弥永[6]で紹介されていた。それをみるとここの砂白金はプラチナ(Pt)に富んでいることがわかるので,今回の結果とも調和的である。

最終的に合計27粒をピックアップして調べた。ルテニイリドスミン8粒,自然プラチナ7粒,自然オスミウム5粒,自然ルテニウム5粒,自然イリジウム2粒という結果だった。

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金水銀鉱

自然金にまつわる調べ物はこの金水銀鉱を見つけたことから始まった。

金水銀鉱 / Aurihydrargyrumite
銀色部分が金水銀鉱 / Aurihydrargyrumite。

アマルガムの一つでありAu6Hg5の化学組成を持っているが,コレは相図上には現れない。液体水銀と金を混ぜて温めたり冷やしたりするだけでは金水銀鉱は出来ない。金水銀鉱を人工的に合成するには,王水に溶かした金と硝酸に溶かした水銀を混ぜてヒドラジンで還元するという強引な手法を用いる必要がある。一方で天然では自己電解精錬で生じると考えている。

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石喰い

分離が不完全な砂金は母岩を巻き込む事がある。こういったのを「石喰い」と言うそうだ。

石喰い砂金

茨城県大沢川の砂金で,ここの砂金は石喰いが多い。喰われている石は石英だった。石喰いの砂金は川に落ちてからあまり時間が経過していないのか,金に富む表層を持たないことが多い。石を喰っていない砂金は金に富む表層を持つので,年月を経ているのかもしれない。また石を喰っていない砂金には希にアマルガムが伴われ,そのアマルガムはウェイシャン鉱だった。

砂金の分析値
表層
平均Au95Ag4Hg1(幅Au94-97Ag3-6Hg1)

内部(石喰い砂金も含む)
平均Au78Ag22Hg0(幅Au73-85Ag15-27Hg0-1)

内部はそこそこの品位で石英を伴うという特徴から,これは深/中熱水性鉱脈型の山金が起源と思われる。

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上記念別沢川

北海道小平町上記念別沢川の砂金・砂白金。道道126号線にかかる橋には「上記念別沢川」の表札があるが,川の名前を調べる地図には載ってなかった。小平蘂川(おびらしべがわ)水系になる。

砂金・砂白金

写真幅約3ミリで,比較的大粒の砂金・砂白金が含まれていた。砂金内部の分析値を見ると金/銀濃度に幅がある。起源が一つでは無いのかもしれない。

砂金
表層:平均Au95Ag4Hg1(幅Au88-99Ag1-11Hg0-2)
内部:平均Au73Ag26Hg1(幅Au62-92Ag7-37Hg0-1)

砂白金
7粒を調べ,自然イリジウムが1粒で残りはルテニイリドスミンだった。

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小平町富岡

小平町秀浦よりやや南に位置する。小椴子川(ことどっこがわ)が主な河川。

砂金・砂白金
砂金には少量の砂白金が伴われる。写真の横幅は約2.5ミリ。

砂金
表層:平均Au96Ag3Hg1(幅Au95-97Ag2-5Hg1-2)
内部:平均Au71Ag28Hg1(幅Au66-77Ag22-33Hg0-1)

砂白金
左:自然プラチナ:(Pt78Rh2Pd1Os1Ir1)Σ83Fe17
右:ルテニイリドスミン:Ir43Os31Ru23Fe2Rh1
自然プラチナには鉄が含まれる。これがPt75Fe25くらいまで鉄が多いとイソフェロプラチナ鉱の可能性が出てくる。ただし自然プラチナとイソフェロプラチナ鉱の本質的な違いは結晶構造にあるので,微妙な組成だとX線回折で判断することになる。写真の横幅約1.5ミリ。

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トラミーン鉱

小平町富岡の砂金・砂白金の中に,ものすごく小さい色味の悪い砂白金が一粒だけあった。

トラミーン鉱 Tulameenite
写真の横幅約0.5ミリ。
調べたところこれはトラミーン鉱(Tulameenite)という鉱物であった。日本では1976年に北海道幌加内町から産出の報告がある[7]。プラチナ(Pt),鉄(Fe),銅(Cu)からなっている。

トラミーン鉱断面SEM写真
切断面のSEM写真。
粒の表面の厚さ数ミクロン~数十ミクロンの暗い灰色の部分がトラミーン鉱で,その内部の大きく明るい灰色はイソフェロプラチナ鉱(Isoferroplatinum)であった。X線回折でもこの鉱物特有のP格子の反射が確認された。

トラミーン鉱:(Fe0.95Cu0.83Ni0.16)Pt2.13
イソフェロプラチナ鉱:Fe1.05(Pt2.86Pd0.08Os0.01)

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パンケ幌内川

同じ名前の河川がたくさんあるようだが,芦別市を流れる石狩川水系空知川支流のパンケ幌内川の標本となる。

砂金・砂白金

砂金は基本的に棒状という特徴がある。砂金の表層および内部にそこそこの水銀が検出された。また少量の砂白金も入っていた。写真の幅約3ミリ。

砂金
表層:平均Au93Ag4Hg3(幅Au87-97Ag0-11Hg2-4)
内部:平均Au72Ag23Hg5(幅Au66-78Ag18-29Hg5-6)

砂白金
5粒を調べ4粒がルテニイリドスミンだった。あと一粒あるが,それは次の項に書く。

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トロフカ鉱+ラウラ鉱

トロフカ鉱(学名:Tolovkite)はロシアのTolovka川を原産地とする鉱物で,IrSbSの化学組成を持つ。パンケ幌内川(芦別市)の砂白金中にこの鉱物が一つだけ含まれていた。

Tolovkite and Laurite
粗粒な表面を持つ砂白金で大部分はトロフカ鉱になっているが,中心部は別の鉱物。スケールは下のSEM写真を参考に。

Tolovkite and Laurite
中心部のやや暗い灰色はラウラ鉱(学名:Laurite)で,RuS2の化学組成を持つ。ラウラ鉱は発見者が友人の妻の名前に因んで命名したという由来を持つ。
ラウラ鉱の下からぺろっと出ている若干明るい灰色部は自然オスミウム。

X線回折も検証し,トロフカ鉱+ラウラ鉱+自然オスミウムのパターンが得られた。

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玉川

玉川は茨城県常陸大宮市を流れる久慈川水系の川で,ここも砂金が見つかる。

砂金
平板状の砂金が大半を占め,砂金は金に富む表層をもつことが多い。化学組成は久慈川水系の上流に当たる大沢川からの石喰い砂金とよく似た値を示す。一方でこちらは石喰いは少ない。
また少なからず表層にアマルガムを生じた砂金が伴われる。アマルガム相はX線回折にてウェイシャン鉱と金水銀鉱を確認した。写真の幅約2ミリ。

砂金の分析値
表層(アマルガム表層を持つ砂金は除く)
平均Au97Ag2Hg1(幅Au95-98Ag1-4Hg0-1)

内部
平均Au77Ag23Hg0(幅Au71-85Ag14-28Hg0-1)

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荒川

埼玉県および東京都を流れ東京湾に注ぐ荒川水系の本流で,やはり以前から砂金の産出が知られている。

砂金

ころっとした比較的厚みのある砂金で,石喰いもある。また赤錆びた砂金もあり,そこには鉄が検出されたので褐鉄鉱だろう。分析してみると砂金の内部には微量だが水銀が含まれていることが多い。写真の幅約2ミリ。

砂金の分析値
表層
平均Au94Ag5Hg1(幅Au90-97Ag2-9Hg0-1)

内部
平均Au71Ag28Hg1(幅Au62-75Ag24-36Hg0-2)

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荒川の砂白金?

荒川からは砂白金が産出すると言われているが,真実ならモノを見てみたい。そんな折にたったの4粒だがサンプルがやってきた。

砂白金もどき1

砂白金と言われるとなるほどという面構えではある。ただ北海道で産出する一般的な砂白金に比べるとややざらついた印象をうける。
 

砂白金もどき2

断面SEM写真。内部は均質ではなく,暗・中間・明のコントラストが見える。このコントラストはモノの違いを示している。そしてこれらは砂白金ではなかった。
暗色:CrSi2
中間色:FeSi2
明色:(Fe,Cr)Si

これはいわゆるフェロシリコクロムという物質で,まず間違いなく人工物である。製鉄や鋳造に使われるらしい。調べた4粒は基本的にすべて同じ。

砂白金が産出する条件として,蛇紋岩やかんらん岩のような苦鉄質岩が一般的には必要である。ところが荒川周辺には苦鉄質岩の産出はきわめて小規模で限定的となっている。そうなると上流の礫岩中に含まれる苦鉄質岩などにも砂白金供給源を求める必要があるが,この地質環境は砂白金を期待するには相当厳しいと思える。そんな思いが当初からあってこのたびの結果である。このどこからか流入したフェロシリコクロムは砂白金と誤って認識されている可能性は極めて高い。ホンモノが別にあるにせよ,荒川の砂白金はもうちょっと検証してみたい。なによりまず試料の確保か。

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丹波川

多摩川の原流域の河川だが,正式名称ではないのか川の名前を調べる地図には掲載されていない。山梨県丹波山村に位置する。

砂金
丸みをおびた不定形~楕円状の砂金で,一部には石喰いが認められる。

砂金の断面SEM写真
切断して内部を見ると,通常の砂金には認められるはずの金に富む表層が全く無い。まれにあっても非常に薄くて分析できない。比較的若いということなのだろうか。そして金濃度が結構高い。

分析値
内部のみ:平均Au85Ag15Hg0(幅Au84-86Ag14-15Hg0-1)

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黒川谷

上の丹波川にそそぐ,さらに上流の河川に相当する。

砂金

丹波川の砂金と比較してゴツゴツと荒々しいモノが多い。より供給源に近いのだろう。石喰いもある。
切断面してみると金に富む表層は無いか,非常に薄いために分析できなかった。そしてやはり金の濃度が高い。

分析値
内部:平均Au92Ag8Hg0(幅Au87-97Ag3-13Hg0-1)

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三浦半島

神奈川県の三浦半島からもごくわずかに砂金が採れるらしい[8]。樹脂にマウントされた状態の試料だったが,その貴重な一粒を恵与してもらった。

砂金

反射顕微鏡写真。肉眼的に金に見間違える試料は多くあるが,反射顕微鏡観察では金とその他を間違えることはほぼ無い。反射顕微鏡で金色に輝く鉱物は金のみである。

三浦半島産砂金の分析値は文献[8]にも掲載がなかったので,たった一粒だが電子顕微鏡で観察し,分析してみた。この砂金は金に富む表層を持たず,内部の金濃度は結構高い。

分析値
内部:平均Au89Ag11Hg0(幅Au88-89Ag11-12Hg0)

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天沼鉱山

群馬県みなかみ町に位置するかつての金鉱山。いつ頃からだろうか,ここの山金標本を見かけることが多くなった。また信玄鉱床とラベルのある標本も手に入った。

山金
手に入れた山金の標本はこれ一つだったので分析はしていない。鉱床などは不明。

自然金
こちらは信玄鉱床とラベルがついた標本。砂金のようにも見えるが,結晶外形を維持している。詳しい採集場所や収集法は伺っていない。

断面SEM
信玄鉱床産の金をSEMでみると,一般的な砂金とは様相が異なる。ここの金は内部に金濃度の高い部分(明るい部分)がスポット的に存在している。ただ全体的に見ると低品はかなり低い。あとほんの数%金が少なかったら自然銀になるところだが,ギリギリでなんとか自然金という鉱物種の領域を保っている。

分析値
全体:平均Au52Ag47Hg1(幅Au50-53Ag45-48Hg1-2)
明るい部分:平均Au80Ag19Hg2(幅Au73-87Ag12-26Hg2)

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中津川

中津川は関東山地に端を発する荒川水系の最上流域に位置する河川で,滝沢ダムからやや下流で荒川に合流する。ここでも砂金が採集されることが知られている。

砂金
ここの砂金は色,形,大きさにかなりの幅がある。また黒色の粒が複数ふくまれている(例えば写真中央やや下)。磁鉄鉱かと思いきや,調べてみると硫テルル蒼鉛鉱などのBi-Te-S系の鉱物が黒変した姿だった。

砂金はいずれも金に富む表層が観察されなかった。また,見た目でのバリエーションのとおり,分析値も大きく幅がある。一方でその幅は金/銀比率によるもので,水銀はまったく含まれなかった。

砂金の分析値
内部:平均Au70Ag30Hg0(幅Au59-80Ag20-41Hg0)

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八溝川
茨城県太子町を流れる八溝川(やみぞがわ)。八溝山に端を発し,下野宮付近で久慈川に合流する。

砂金
わりと大きめで重厚感のある砂金。あまり数がなかったので1個だけ切断・分析してみたところ,内部もかなり高品位の砂金だった。調べた範囲でだが,久慈川水系(久慈川,大沢川,玉川)の中で最も金品位の高い砂金であった。

分析値
表層:平均Au97Ag0Hg3(幅Au97Ag0Hg2-3)
内部:平均Au91Ag6Hg3(幅Au91-92Ag6Hg2-3)

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大道沢
栃木県羽黒町須賀川に流れ込む小さい沢で大道沢(おおみちざわ)と読むようだ。これも久慈川水系になる。

砂金
石喰いがみられる。これも数が少ないので一粒だけ切断・分析してみた。その砂金は金に富む表層を持たず,全体がほぼ同じ組成であった。

分析値
平均Au80Ag19Hg1(幅Au79-82Ag18-20Hg0-1)

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小椴子川
北海道小平町の鬼鹿山に端を発する河川で,小椴子川(ことどっこがわ)と読むそうだ。20kmに満たない短い河川だが砂金と砂白金が産出する。河口や海岸でも砂金・砂白金認められる。

砂金
写っているは砂金だけだが砂白金も数粒が含まれ,それらはルテニイリドスミンと自然オスミウムだった。砂白金についてはあとで全体をまとめてみようと思う。

砂金の分析値
表層:平均Au93Ag7Hg0(幅Au78-99Ag0-22Hg0-1)
内部:平均Au66Ag33Hg1(幅Au64-68Ag32-35Hg0-2)

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ポントマム川

鵡川(むかわ)水系に該当する北海道占冠村を流れる河川。

砂金
5ミリを超える大きくごろっとしている砂金が認められ,ちいさい砂金も1ミリ程度。写真には写ってないが砂白金も少量含まれる。あとでまとめるがここの砂白金はルテニウム成分をほとんど含まない。

砂金の分析値
表層:平均Au99Ag1Hg0(幅Au98-99Ag1-2Hg0-1)
内部:平均Au79Ag18Hg3(幅Au76-82Ag16-20Hg2-4)

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愛奴沢川

羽幌川水系に属する河川で愛奴沢川(あいぬさわがわ)と読む。間沢山の南を流れ羽幌川に合流する。

砂金・砂白金
砂金は比較的大きい方だと思われるが,小さな砂金も多い。いくつか石喰いも認められた。砂白金が伴われるが一般的にサイズは砂金より小さい。

砂金の分析値
表層:平均Au92Ag7Hg1(幅Au80-97Ag2-19Hg0-2)
内部:平均Au81Ag18Hg1(幅Au67-90Ag10-33Hg0-2)

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中の川

北海道大樹町にある中の川。歴舟川水系になる。

砂金
これはでかい。いずれも5ミリを超える砂金だった。しかし3つしかないので分析したのはそのうち一つだけ。

表層:平均Au98Ag2Hg0(幅Au97-99Ag1-3Hg0)
内部:平均Au81Ag19Hg0(幅Au81-82Ag18-19Hg0)

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茂初山別川

北海道初山別村北千代田を流れる河川で茂初山別川(もしょさんべつがわ)と読む。

砂金・砂白金
これもでかい砂金で5ミリを超えるものがいくつもあった。ただ砂金ごとにその金/銀比率に大きなばらつきがある。最も金が低い砂金はAu54Ag46で,あと少し銀が多かったら自然金の領域を外れる。また少量の砂白金を伴う。

砂金の分析値
表層:平均Au98Ag1Hg1(幅Au97-99Ag0-2Hg0-1)
内部:平均Au71Ag28Hg0(幅Au54-85Ag14-46Hg0-1)

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初山別川

北海道初山別村南千代田を流れる河川で初山別川(しょさんべつがわ)と読む。

砂金
見た目は茂初山別川の砂金と同様で,大きい砂金が含まれている。組成は金比率が高い砂金が多く,また水銀を多く含む砂金もあった。その他,写ってないが少量の砂白金が伴われる。

砂金の分析値
表層:平均Au98Ag2Hg0(幅Au96-99Ag1-4Hg0-1)
内部:平均Au79Ag18Hg4(幅Au74-82Ag11-25Hg0-8)

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パンケ川

北海道下川町を流れる天塩川水系の河川。

砂金
基本的に砂金だけ。砂白金は伴われない。表層は金に富むが中身は銀がかなり多く,鉱物種として自然銀に該当する粒も存在する。

砂金の分析値
表層:平均Au96Ag3Hg0(幅Au94-98Ag2-6Hg0-1)
内部:平均Au51Ag49Hg0(幅Au49-53Ag47-51Hg0)

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Ru-Os-Ir系砂白金その1

北海道産砂白金の大多数はルテニウム(Ru),オスミウム(Os),イリジウム(Ir)の三成分で構成され,こういった砂白金にはプラチナ(Pt)成分はほぼ含まれない。逆にプラチナ(Pt)を主成分とする砂白金にはRu-Os-Irはほぼ含まれない。ここではRu-Os-Irを見ていく。

Ru-Os-Ir系砂白金その1

この図中にはルテニウム,オスミウム,イリジウムとルテニイリドスミンという鉱物種がある。本来3つの成分があったとき鉱物種は中央で分けることを基本とするが,結晶構造が関わってくると例外的な分類になる。立方晶系のイリジウムは六方晶系のオスミウムやルテニウムと化学組成が連続的に変化しない。そのために黄色で示した不混和領域が生じる。ところが不混和領域の左上から中央に至るまでの領域は「イリジウム成分が最も多いが六方晶系の結晶構造を持つ鉱物」であって,立方晶系のイリジウムとは区別する必要がある。そのためにこの領域の鉱物には「ルテニイリドスミン」という名称が与えられ,自然イリジウムとは別の鉱物種として扱われる。

 鉱物名を和名で呼ぶ際は,ルテニウム,オスミウム,イリジウムについては頭に「自然」をつける。例えば「自然オスミウム」など。一方でルテニイリドスミンはそのまま読むことが多い。また,自然ルテニウム [9]とルテニイリドスミン [10]は北海道産砂白金から産まれた新種である。
 
 また世間には「イリドスミン」や「オスミリジウム」という言葉があり,どちらもイリジウム-オスミウム系合金の事を指す。名称の前半は修飾語なので,例えば「オスミリジウム」はオスミウムが含まれるがイリジウムのほうが多い合金ということになる。「イリドスミン」だとオスミウムのほうが多い,と言うのが本来の意味合いである。そうなると「ルテニイリドスミン」は名前からするとオスミウムが主体であるべきだが,上の図で見えるように実態としてはイリジウムが最も多い。つまり「ルテニイリドスミン」は名前と実態が合っていない。現在の定義を決める際に過去の名称などに配慮した結果であって,今ではもうそういうことと認識するしかない。

それから「イリドスミン」や「オスミリジウム」は昔は鉱物の種名としても扱われていたが,今の定義では残っていない。合金をしめす言葉として使うぶんには問題なかろうが,いまだに鉱物名として使っている人もいるように感じる。少なくとも論文などでは「イリドスミン」や「オスミリジウム」は鉱物を示す名前としては使えないことに注意が必要。

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Ru-Os-Ir系砂白金その2

北海道産砂白金の分析値をRu-Os-Ir三角図に置いてみた。

砂白金の化学組成

砂白金の起源や由来でまとめてみた。熊の沢の砂白金は地域的に鷹泊かんらん岩体を起源にしており,白金沢やポントマム川の砂白金は夕張岳かんらん岩体を起源に持つだろう。一方で,茂初山別~上記念別沢は現在露出しているかんらん岩体からは遠く離れており,河川の発端もかんらん岩体には触れていないため,これらの地域からの砂白金は堆積岩に胚胎されていると思われる。ある産地では砂金・砂白金が良く見つかるのにその隣の沢からは全く出ないということもあり,砂金・砂白金を含む特定の層準あるのだろう。

組成的な特徴として,熊の沢はルテニウム成分に比較的富んでおり,オスミウムとイリジウム成分が等量に近いがややイリジウム成分が勝っている。白金沢・ポントマム川は分析例が少ないがおおむねルテニウム成分が少ないという特徴があり,鉱物種としては自然オスミウムもしくは自然イリジウムのどちらかが多い。堆積岩からの砂白金はルテニウムに富むものと,ほとんどルテニウムを含まないものとに分かれる印象をうける。地質で分類した方がいいのだろうが,まだそこまでは追えていない。

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苫前海岸その1
北海道苫前町の海岸から採集される砂金・砂白金。古丹別川が周辺の主要河川になる。

苫前海岸
浜金・浜白金なのでサイズは非常に小さい。砂金は金に富む表層はほぼ無い。金濃度は粒子ごとにばらつき幅があり,ほぼ銀を含まない粒子もある。
砂白金のほうはほぼフルコース。自然プラチナ,自然オスミウム,自然イリジウム,自然ルテニウム,ルテニイリドスミン,イソフェロプラチナ鉱,トラミーン鉱が確認された。写真中央とやや左,それからやや右下にある錆びたようにみえる粒子はプラチナ系の砂白金となる。稀少鉱物のイソフェロプラチナ鉱,トラミーン鉱はこういった砂白金から見つかった。

砂金の分析値
内部のみ:平均Au74Ag25Hg1(幅Au65-97Ag3-32Hg0-3)

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鴨川
京都を代表する河川,鴨川。この川からも砂金がとれることを知ってようやく手に入れた。

鴨川
石喰いが多く,ごつごつした印象を受ける。切断してみると金に富む表層をもつ砂金はむしろ少ない。表層があったとしても連続性が悪く途切れがち。成分はどうなっているかというと,鉱物種としての銀に該当する粒もあって,全体的に金濃度は低い傾向がある。
鴨川上流には主に付加体が分布している。

砂金の分析値
表層:平均Au97Ag2Hg1(幅Au94-99Ag1-5Hg0-1)
内部:平均Au60Ag40Hg0(幅Au47-66Ag34-53Hg0-1)

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鞍馬川
鴨川を遡ると北区の上加茂十三石山あたりで北と東側に河川が分かれている。北側は鴨川の本流で,東側は鞍馬川となり,そこでも砂金が見つかる。

鞍馬川
鴨川よりもやや小さめの砂金が多いが,基本的には石喰いが多く粗い粒子。砂金は鉱物種としての銀に該当する粒があるが,一方で金濃度が高い部分を内部にもつ砂金もある。その金濃度が高い部分を除くと金品位は鴨川と同様に低い。金に富む表層はないか,あっても連続性は悪い。
鞍馬川は鴨川と近いとはいえ地質環境はやや異なる。鞍馬川の源流域には小規模に花崗岩が分布し,下流に向かいチャート・玄武岩・付加体分布地域を経由して鴨川に合流する。重砂の中にあったビア樽状のサファイアは花崗岩からきていると思われる。

砂金の分析値
表層:平均Au97Ag3Hg0(幅Au93-99Ag1-7Hg0)
内部:平均Au63Ag37Hg0(幅Au49-79Ag21-50Hg0)(金に富む部分を除く)
内部:平均Au90Ag10Hg0(幅Au84-96Ag4-16Hg0)(金に富む部分)

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安倍金山
現在の静岡市葵区に位置するかつての金山群は安倍金山と総称される。その地域を流れる小河内川から得られた砂金。

安部金山
砂金には丸~ごつごつと筋だった形状があるが,成分的に大きな差は無い。金に富む表層は全く無い。比較的若いのだろうか。
写真中の中央やや右よりの色の鈍い粒子はいわゆるアマルガム。安部鉱山ではアマルガム法による金の回収が行われていたと考えられているため,このアマルガムは人工物であろう。相としてはウェイシャン鉱だった。

砂金の分析値
内部のみ:平均Au78Ag21Hg1(幅Au74-81Ag19-24Hg0-3)

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山ヶ野金山

山ヶ野金山は初期に山ヶ野地区(霧島市)で開発され,後に拠点を永野地区(さつま町)に移して稼行していた。永野の旧名は長野であり,永野金山あるいは長野金山と呼ばれることもある。永野地区の下流に位置する穴川の重砂中には砂金が認められる。

native gold
これは坑道内から産出したいわゆる山金。

砂金
穴川から得られる砂金の写真。丸っこい粒子,角張った粒子,棒状の粒子が認められる。棒状の砂金は北海道中津川でも産出するが,ここの棒状砂金はよく見るとなんだか変だ。

ウェイシャン鉱 / Weishanite
棒状の砂金は「金」という物質の結晶構造からは考えがたい六角柱状の結晶になっている。調べてみたらこれは金ではなく,ウェイシャン鉱(Au3Hg)というアマルガム相だった。ウェイシャン鉱は六方晶系なので六角柱状結晶はしごく当たり前のすがた。

この結晶の内部には微小な液体水銀が含まれていることから,この六角柱状ウェイシャン鉱は液体水銀をフラックスとして成長した結晶であろう。山ヶ野金山は金の回収にアマルガム法を用いた時期がかつてあり,重砂の中にも液体水銀がしばしば見つかる。状況証拠的に,この六角柱状ウェイシャン鉱は自然金と人為起源の液体水銀が重砂と共に同じ場所に留まり,それらが反応して生成したものと考えられる。
いずれにしても人為起源の水銀が関わっているのだとしたら,このたびのウェイシャン鉱は鉱物の定義からは外れる物質になるだろう。しかしながら,原物質がどうであれ,産出に至るプロセスには天然の比重選別が大きな役割を果たしており,これもまた自然が生み出した物質であることに違いない。

おもしろい発見だと思うので,これは2017年の鉱物科学会で報告することになった[11]

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苫前海岸その2

苫前海岸の砂白金にはおもしろいモノがある.

砂白金
一粒の砂白金の切断面SEM写真.色の違いは鉱物の違いを現しており,一見して3種類くらいはあることがわかる.ところが実際は4種の鉱物からできていた.

白金族元素含有鉱物
鉱物種とそのポジションの対応.

この砂白金は基本的には自然オスミウムを主体としているが,トラミーン鉱(Tulameenite:FeCuPt2)とイソフェロプラチナ鉱(Isoferroplatinum:Pt3Fe)も伴われる.そしてトラミーン鉱と色が変わらないが,一部はフェロニッケルプラチナ鉱(Ferronickelplatinum:FeNiPt2)という別の鉱物になっている.ミクロンの世界ではあるが大変興味深い.

分析値
自然オスミウム:Os43.55Ir36.81Ru17.44Rh1.04Fe0.58Cu0.47Ni0.12
イソフェロプラチナ鉱:(Fe0.83Cu0.29Ni0.01)Σ1.13(Pt2.76Ir0.06Rh0.03Os0.01)Σ2.87
トラミーン鉱:(Fe0.83Ni0.08)Σ0.90Cu1.01(Pt2.01It0.05Rh0.01)Σ2.08
フェロニッケルプラチナ鉱:Fe1.05(Ni0.58Cu0.31)Σ0.89(Pt1.99Ir0.05Os0.01Rh0.01)Σ2.06

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苫前海岸その3

さらに小さい話になるが,こういった鉱物もあった.

自然白金 
自然プラチナの小さな粒子の内部に何かが含まれている(黄色枠).

自然白金中の包有物
黄色枠部分の拡大.RhAsSとPtSとなる化学組成を持つ鉱物が自然プラチナの中に含まれていた.

RhAsSの化学組成はホリングワース鉱(Hollingworthite)という鉱物.PtSの化学組成はブラッグ鉱(Braggite)もしくはコーパー鉱(Cooperite)という鉱物があり,化学組成だけではどちらかは決まらない.

分析値
ホリングワース鉱:(Rh0.90Ir0.06Pt0.03Fe0.02)Σ1.01As1.03S0.96
ブラッグ鉱orコーパー鉱:Pt1.02S0.98

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沼田町
 
標本を借りて分析(非破壊)と写真撮影をさせてもらった。
産地は沼田町とだけ伝えられ詳細は不明。

PGE Placer
最も大きいもので約3ミリある。このくらいのサイズになると砂白金として非常に立派でかつ稀少。以下に個別の写真と表面の平均分析値を掲載。

Native Osmium
最も大きい砂白金。長辺方向で約3ミリ。表面を分析して、最も多い元素はオスミウム(OS)、次いでイリジウム(Ir)。全体的にばらつきは少ない。鉱物種としては自然オスミウムになる。自然オスミウムは六法晶系で、外観はルーズな6角形という印象を受ける。
平均組成:Os38Ir35Ru26Rh1

Rutheniridosmine
長辺約2ミリ。平たい結晶が重なっている外観を示す。それぞれの板結晶で組成の差はあまりなく、最も多い元素はイリジウム(Ir)、次いでオスミウム(Os)であるが、ルテニウム(Ru)も多く含む。この組成だと鉱物種としてはルテニイリドスミンとなる。境界がどうなっているのか、切って観察してみたいがレンタル標本なのでそれはできない。自分の標本なら躊躇なく切ってるだろう。
平均組成:Ir42Os35Ru23Rh1

Irarsite
長辺約2.5ミリ。中央やや右寄りにある濃い灰色と、その下のに銀白色の部分から構成される砂白金。濃い灰色の部分は輝イリジウム鉱(Irarsite)で、銀白色の部分はルテニイリドスミンとなっていた。これも切ってみたい・・
輝イリジウム鉱:(Ir0.81Pt0.19Rh0.04Ru0.03Os0.03)(As0.92Sb0.02)S0.95
ルテニイリドスミン:Ir41Os32Ru19Pt6Rh1

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マムシ沢
剣淵町マムシ沢というラベルの標本。これもレンタルした標本で、非破壊の分析と写真だけ撮影させてもらった。
 
PGE Placer
中央にある六角結晶は自然オスミウム。砂白金の標本で完全に自形が保たれているものは非常に珍しく、それ故に貴重と言える。そのほかにも自然イリジウム、ルテニイリドスミン、自然白金があり、一部にはラウラ鉱、輝イリジウム鉱、イソフェロ白金鉱などが伴われていた。産出する種類が多い。
産地についてラベルは剣淵町となっていたが、士別市のマムシ沢ではないかと思っている。士別市のマムシ沢なら幌加内オフィオライトの中にあるので多様な白金属元素鉱物は妥当に思えるが、剣淵までいくと地質がかなり異なる。詳細はこんどまた聞いておくことにして、とりあえずメモ的に掲載する。

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雨竜川
北海道雨竜川の砂白金。非破壊の分析と写真だけ。

Placer of Platinum-group mineral
わりあい大粒の砂金と砂白金。自然オスミウム、自然イリジウム、ルテニイリドスミン、自然白金が見つかった。ルテニイリドスミンの一部には輝イリジウム鉱が伴われている。
 
PGE Placer
ここの砂白金には写真のような名前にらしからぬ黒色を帯びるものが多く見つかる。そのもの自体は自然オスミウムやルテニイリドスミンであるが、黒色の部分には鉄や硫黄が多く検出される。ただし検出される量は安定しないので、その黒色は錆のたぐいだと思われる。

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ツヴィアギンツェフ鉱
砂白金を調べる際の参考になるかと思い、パラジウムと鉛を主成分とするツヴィアギンツェフ鉱 / Zvyagintseviteというラベルの標本を買ってみた。産地はKonder Alkaline-Ultrabasic, ロシア。

Zvyagintsevite-bearing Platinum
Fig 1. ツヴィアギンツェフ鉱というラベルがついた標本の全体像。
もともとプラチナの結晶とも言われてたが、この標本は全体がツヴィアギンツェフ鉱というふれこみであった。ところが表面を分析してみるとパラジウムは無くかわりにプラチナが検出された。なんだやっぱりプラチナの結晶か。だがプラチナの結晶ならそれはそれでお買い得と言える値段だったのでまあいいと思っていた。ところが金のピークも出てくる場所があるぞ、なんだこれ? 気になったので詳細を調べることにした。
 
 
fig2
Fig 2. 研磨面の後方散乱電子像
この結晶の裏側(底面)はが平らになっていた。そこをすこし削って断面を出し研磨して全体を壊さずに観察することにした。観察してみるとこの結晶の中心は鉄を含んだ自然プラチナのようだ。なるほど。一方で表面側は鉄とプラチナが1:1で検出され、これはテトラフェロプラチナ鉱 / Tetraferroplatinumという珍しい鉱物である。ラベルに書く鉱物種が増えた。さてFig 3.の部分をもっと拡大してみよう。
 
 
fig3
Fig 3. 研磨面の一部拡大像
なかなか複雑なことになっている。ミクロンスケールだがこの標本のラベルにあるツヴィアギンツェフ鉱の存在は確認できた。よかった。そのほかに金と銅の鉱物である正方オーリキュプライド鉱 / Terta-auricupride、パラジウムとビスマスの鉱物であるソボレフスク鉱 / Sobolevskiteが散らばっている。これらもラベルに追加。
 
 
fig4
Fig 4. 研磨面の一部拡大像
この部分にはパラジウムと錫の鉱物であるアトク鉱 / Atokiteが認められ、Ptを多く含むものと、あまり含まないものがあった。さらにラベルに追加。
 
 
これは全体的には中心が自然プラチナで表層はテトラフェロプラチナ鉱であるが、その内部はたいへん希少な鉱物の集まりになっている。そんな標本であった。ざっくりいってお値段以上の価値を感じた。確認できた鉱物種とその分析値は以下に並べておく。ぱっと見で一種類の鉱物(合金)に思えたとしても中身は案外に複雑である。苫前海岸の砂白金もそんな感じだったな。

自然プラチナ:Pt71Fe27Cu2
テトラフェロプラチナ鉱:(Pt1.00Pd0.03)Σ1.03(Fe0.69Cu0.28)Σ0.97
ツヴィアギンツェフ鉱:(Pd2.96Au0.03Pt0.02)Σ3.01(Pb0.93Bi0.05)Σ0.99
正方オーリキュプライド鉱:(Au0.75Pd0.23Pt0.03)Σ1.01Cu1.00
ソボレフスク鉱:Pd0.97(Bi1.01Pb0.02)Σ1.03
アトク鉱(Pt-rich):(Pd1.64Pt1.36)Σ3.00(Sn0.99Pb0.01)Σ1.00
アトク鉱(Pt-poor):(Pd2.68Pt0.29)Σ3.02(Sn0.77Pb0.21)Σ0.98

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ルテニイリドスミン
 
ルテニイリドスミンという白金族鉱物は日本の新鉱物種とされる。
その経緯を調べてまとめてみた。
日本産鉱物種一覧の「ルテニイリドスミン」を参照ください。

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白金族元素含有鉱物の一覧
 
白金族元素(Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Pt)を主成分とする鉱物と化学組成の一覧。
合計で141種と予想外に多く、そのうち日本から見つかっているのは20種程度と案外少ない。
太字はこれまでに日本から見つかっているもので、自分が新たに見つけた鉱物は太青字にしてみた。
もっと丁寧に探せばもっと見つかりそう。

Anduoite RuAs2
Arsenopalladinite Pd8As3
Atheneite Pd2(As0.75Hg0.25)
Atokite Pd3Sn
Borishanskiite Pd1+x(As,Pb)2 (x = 0.0-0.2)
Borovskite Pd3SbTe4
Bortnikovite Pd4Cu3Zn
Bowieite Rh2S3
Braggite PtS
Cabriite Pd2CuSn
Changchengite IrBiS
Chengdeite Ir3Fe
Cherepanovite RhAs
Chrisstanleyite Ag2Pd3Se4
Coldwellite Pd3Ag2S
Cooperite PtS
Crerarite (Pt,Pb)Bi3(S,Se)4-x (x = 0.4-0-8)
Cuproiridsite CuIr2S4
Cuprorhodsite CuRh2S4
Damiaoite PtIn2
Daomanite CuPtAsS2
Erlichmanite OsS2
Ferhodsite (Fe,Rh,Ni,Ir,Cu,Pt)9S8
Ferronickelplatinum Pt2FeNi
Ferrorhodsite FeRh2S4
Froodite PdBi2
Gaotaiite Ir3Te8
Garutiite (Ni,Fe,Ir)
Genkinite Pt4Sb3
Geversite PtSb2
Hexaferrum (Fe,Os,Ru,Ir)
Hexamolybdenum (Mo,Ru,Fe,Ir,Os)
Hollingworthite RhAsS
Hongshiite PtCu
Inaglyite PbCu3Ir8S16
Insizwaite PtBi2
Irarsite IrAsS
Iridarsenite IrAs2
Iridium Ir
Isoferroplatinum Pt3Fe
Isomertieite Pd11Sb2As2
Jacutingaite Pt2HgSe3
Jagüéite Cu2Pd3Se4
Kalungaite PdAsSe
Kashinite Ir2S3
Keithconnite Pd20Te7
Kharaelakhite (Cu,Pt,Pb,Fe,Ni)9S8
Kingstonite Rh3S4
Kitagohaite Pt7Cu
Kojonenite Pd7-xSnTe2 (0.3 竕、 x 竕、 0.8)
Konderite PbCu3Rh8S16
Kotulskite Pd(Te,Bi)2-x (x 竕・0.4)
Kravtsovite PdAg2S
Laflammeite Pd3Pb2S2
Laurite RuS2
Lisiguangite CuPtBiS3
Luberoite Pt5Se4
Lukkulaisvaaraite Pd14Ag2Te9
Majakite PdNiAs
Malanite CuPt2S4
Malyshevite PdCuBiS3
Marathonite Pd25Ge9
Maslovite PtBiTe
Mayingite IrBiTe
Menshikovite Pd3Ni2As3
Merenskyite PdTe2
Mertieite-I Pd5+x(Sb,As)2-x (x = 0.1-0.2)
Mertieite-II Pd8(Sb,As)3
Miassite Rh17S15
Michenerite PdBiTe
Miessiite Pd11Te2Se2
Milotaite PdSbSe
Moncheite Pt(Te,Bi)2
Naldrettite Pd2Sb
Nielsenite PdCu3
Niggliite PtSn
Norilskite (Pd,Ag)7Pb4
Oberthürite Rh3Ni32S32
Omeiite OsAs2
Oosterboschite (Pd,Cu)7Se5
Osarsite OsAsS
Osmium Os
Oulankaite Pd5Cu4SnTe2S2
Padmaite PdBiSe
Palarstanide Pd5(Sn,As)2
Palladinite PdO
Palladium Pd
Palladoarsenide Pd2As
Palladobismutharsenide Pd2(As,Bi)
Palladodymite Pd2As
Palladogermanide Pd2Ge
Palladosilicide Pd2Si
Palladseite Pd17Se15
Paolovite Pd2Sn
Pašavaite Pd3Pb2Te2
Platarsite PtAsS
Platinum Pt
Plumbopalladinite Pd3Pb2
Polarite Pd(Bi,Pb)
Polkanovite Rh12As7
Potarite PdHg
Rhodarsenide Rh2As
Rhodium Rh
Rhodplumsite Rh3Pb2S2
Ruarsite RuAsS
Rustenburgite Pt3Sn
Ruthenarsenite (Ru,Ni)As
Rutheniridosmine (Ir,Os,Ru)
Ruthenium Ru
Shuangfengite IrTe2
Skaergaardite PdCu
Sobolevskite PdBi
Sopcheite Ag4Pd3Te4
Sperrylite PtAs2
Stannopalladinite Pd3Sn2 (?)
Stibiopalladinite Pd5Sb2
Stillwaterite Pd8As3
Stumpflite PtSb
Sudburyite PdSb
Sudovikovite PtSe2
Taimyrite-I (Pd,Pt)9Cu3Sn4
Tatyanaite (Pt,Pd)9Cu3Sn4
Telargpalite (Pd,Ag)3Te
Telluropalladinite Pd9Te4
Temagamite Pd3HgTe3
Tetraferroplatinum PtFe
Tischendorfite Pd8Hg3Se9
Tolovkite IrSbS
Törnroosite Pd11As2Te2
Tulameenite Pt2CuFe
Ungavaite Pd4Sb3
Urvantsevite Pd(Bi,Pb)2
Vasilite (Pd,Cu)16(S,Te)7
Verbeekite PdSe2
Vincentite Pd3As
Vymazalováite Pd3Bi2S2
Vysotskite (Pd,Ni)S
Xingzhongite (Pb,Cu,Fe)Ir2S4
Yixunite Pt3In
Zaccariniite RhNiAs
Zvyagintsevite Pd3Pb

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自然ルテニウム

自然ルテニウムは北海道から見出された新種の鉱物である。
その経緯を日本産新鉱物一覧にまとめてみた。
砂白金として得られる粒から自然ルテニウムの結晶を見出しており、プラチナ系砂白金の中に共析する組織もまた面白い。

自然ルテニウム / Ruthenium
北海道留萌地域から砂白金として得られた自然ルテニウムの結晶

砂白金断面
北海道留萌地域から砂白金として得られたイソフェロプラチナ鉱の断面。内部は共析組織を示し、暗い部分が自然ルテニウム。

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